matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

夜の高齢者病棟

母の入院しているのは整形外科病棟なので
基本骨折している以外は元気なので
大きな声が届きます。

夕食の時間です。
母は食べ方をかなり忘れているので食べる前から
ちょっと準備です。
しゃべらせてのどから食べ物が入り易くしておきます。

食事の前にリハビリも済んでバイタルも95まであがり
今日はいい感じだわと思っています。
看護師さんもそれを見ていたのか、同じ病室の中で
一番に配膳してくれました。(いつも一番最後)

しかも今回母は
自分でスプーンを持って魚をパクパク食べ始めました。
ホントウにいい調子です。

ところが昨日手術を終えたばかりのおじいさん。
リハビリでも散々足をいじられて悲鳴をあげていましたが
看護師さんに足がいたくてたまらない器具を外してくれと
懇願しています。
何回かめの看護士さんが
「それを外したら脳梗塞とかおこしちゃうから外せないのよ」
と言っているのを聞くと
着圧ソックスがイヤみたいです。
そう言っているうちにも
ナースコールがガンガン響いています。
なんたってナースステーションの隣の病室ですから
丸聞こえです。

看護師さんが走り回っています。
廊下から声が響いて来ます。
「トイレ連れて行って下さい」

この声が遠くなったり近くなったり
看護師さんが
「5分前に連れて行ったばかりでしょ。もう20分待って」
と言っています。

母の食事が済み歯磨きのためのコップに水を汲みに行きますと
廊下で
車椅子の老女に会いました。
「トイレ連れて行って下さい」
「すみません。看護士じゃないので、連れて行かれないんです」
「看護師さんはどこなの?」
「さあ。どっちでしょう?」

部屋に帰ると
さっきの老紳士のところに看護士さんが来ていました。
「私のポーチ、紫いろなんですが、事務所に預けてあるので取って来て
もらえませんか?」
看護師「病院では個人の物を何もお預かりしないんですよ
何が入っているんですか?」
老紳士「メガネが入っているんですが、そのロッカーの中かもしれない」
看護師「さっきもみましたが何も入っていませんよ。
ご飯食べて下さい」
老紳士「足が痛くて食べられません」

ほう、今日は、このおじいさんとさっきのおばあさんで看護士の奪い合いの
ようです。

「ナースコールはおもちゃじゃないんですからむやみに鳴らさないで下さい」
と言われて隠されてしまいました。

廊下では、さっきのおばあさんが
「お願いだから、トイレに連れて行って下さい。おもらしするのは
恥ずかしいからお願いです」
とやっている。

「80歳過ぎてからこんな風にいじめられるなんて…」
と言う声が聞こえたかと思ったら
ヒィーと泣き出す声
看護師さんも
「いじめているわけじゃないでしょ。ちゃんとやっているけれど
あなただけが入院している訳じゃないんだから」
と応戦している。
「お金払ってこんな仕打ちをうけるなんて」とか
途切れ途切れに声が聞こえる。

いつもはわからんちんの母までが
「看護師さんって大変よね」なんて
気の毒がっている。
うーん。今日は正常みたいだ。
母がお薬も飲んでうとうとし始めたので
帰ろうとすると
件の老紳士から頼まれた。
「帰りに看護士さんを呼んできて下さい」