matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症が進んでしまって、状況が判断できない

入院初日
母は、入院のめまぐるしい検査に耐えられなかったのか
周りの状況が理解できないでいたようだ。

私がベッドのところに行っても
すぐに色々な手続きで呼び出されてしまうので
なんでベッドに寝ているのかさえ解らなかったようだ。

何度目かに行った時に
すえた臭いがしたので
母に向かって
「今日は一日トイレにも行けなくて大変だったね。すぐにトイレに行かせてもらうからね」
と言うと
看護師さんが聞いていたようで
「さっき、寝巻にした時に替えたばかりですよ」
とカーテンの向こうで声がした。

わたし「でもちょっと臭いがするので見てもらえますか?」
と言うと
エルダーナースが
ちょっとムッとした顔をして見に来た。
「オムツ交換しますから、ちょっと出ていて下さい」

さあ、それからが大変
ねまきを脱がすために母をひっくり返すものだから
「痛い。あなたは、私を殺す気なの?
何の目的で私を殺そうとするの?」
ちょっとの沈黙があって
何かを取ろうとしたのだろうか。
「どろぼう。あなたは悪い人なのね。警察を呼んで!私は警察に知り合いがいるのだから、つかまえてもらうわ」
痛い。キャーの合間に淀みなく抗議の声を上げる母
すると
「悪いのはそっちでしょ。気持ち良くなるようにしているのに、
ひっかいたり、つねったり、私たちは傷だらけよ」
うわー火に油を注いでいるなあ
と思っていたら

若いナースが応援に駆け付けた。
「一子さん、ちょっとお着替え手伝わせてくださいな」
「ちょっと痛いかもしれない足を触りますが、良いですか?
ごめんなさいね。そっと触りますからね」
「骨折したばかりで
痛くてつらいかもしれないですが少し斜めになってもらえますか?
本当にごめんなさいね」
とかなり優しく言われているうちに
母は気持ちが落ち着いてきたのか、
「まあ、なんて可愛い手なの。優しいのね」
なんて言い始めた。
「それにしても、こっちの人はなんなの。偉そうに」
って言ったら
若いナースが
「そうなんですよ。偉い人なんですよ。婦長さんなんですから」
これで母も察知したらしい。
この偉いナースに食ってかかったら
この可愛いナースが可哀想な目に遭うのではないかと
さっきよりずっと大人しくなった

そうだ。母がイライラするのは、状況が解らないからなんだ。

私もこのナースを見習うことにした。
幸い、担当医もこのあと
見に来てくれて
「一子さん、ちょっとの間安静にしていてくださいね
骨のつきが良くなりますから」

そこで骨折したことを念入りに言って
早くよくなるように安静にして、ご飯を良く食べて
がんばろうね。
と言って帰って来た。