matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症と歌

グループホームからの呼び出し

GHの嘱託のドクターがお見えになるので、一度会いませんか?
と言うものだった。

そこで急いで支度をして出かけて行ったが、
行った時には、ドクターはすでに帰ったあと、
母のいる階は二時すぎと聞いていたが、
15分には、もういらっしゃらなかった。

こういう医者の呼び出しですっぽかしを喰うことは、もう何度もある。待ちぼうけも。
施設から一、二分ほどの病院なのに、待ってくれないのか、または、連絡をくれないのか

帰られてしまうなら、タクシーで来たのに…。

夫が新しい職場に移ってから、車をつかえない事が多く、母の施設まで、一時間以上かかる。
そうやって時間をかけて来たのに、
母もいなくて、デイサービスの人たちと歌のお時間のようだ。
たっぷり一時間待たされている間、グループホームに残っている方たちと
歌を歌って待つことにした。

みかんの花咲く丘、雨降り、五月の歌など、季節にあった歌を歌っていたが、
この人たちは、ずっとこうやって食卓の前に座っているのだろうか。

母たちがおやつの時間だと言って戻って来た。
すると、私の前で、音楽に耳を傾けていたおじいちゃま。
大変だね。とか、そうそうとか、滑舌のよくない話し方ででも相手をしてくれていたが、
古い曲になると不機嫌になるのは、意外と若い?

そのおじいちゃま。Aさんなんだが、そのおじいちゃまの事を
母たち三人組は、
それぞれが、荒井さん、とか、青木さんとか、荒俣さんとか、
全部「あ」がつくけれど、違う名前で呼ぶ。どれが合っているのか、どれも違うのか

しかもしかりつけている。
何かと思うと
そのおじいちゃま。
入れ歯を外して、4人で囲んだテーブルの真ん中においてしまったようだ。

「それは、荒井さんのものなのでしょ。気持ち悪いから、しまって下さいます?」
「あらあら、ホント、困りますねえ」
「嫌ですわねえ。こんなところにいられませんわねえ」

それでもおじいちゃまは、その入れ歯を戻さないので
三人のマダムは、ソファアの方へ移動してしまいました。

そして母は
「この子は、私の娘なんですの。ピアノを弾かせますから、みんなで歌いましょ」
って
母に合せて、みなさんにご挨拶したあと、持参のマンドリンで、歌の伴奏をしました
車椅子で寝ていたかと思った男性が立ち上がって
スタッフさんの手を借りながら、アイヤ―と叫びながらやって来ました。

歌がお好きなのかもしれませんが、
母が
「アイヤ―さんは、ほおっておいて」と言うので
そのまま、歌集を見ながら4人で口づさみますが、
母の隣の人は、音程がとれず、
またまた母が怒りだします。
「なんで、みんなと違う歌を歌うの?
歌が出来ないなら、楽器を弾いてみる?」

歌が好きでも、音程がとれない人もいるし、認知症の施設を回っていると
壊れたレコードのように、同じところばかり歌う人もいたりします。

母には到底理解できないことで、
どんどん、歌集をその人の前に持って行って、ちゃんと音符を読んでと
責めています。

「ごめん。楽譜ないと、演奏できないよ。音外しちゃうよ」と
仲裁に入りますが、
もう一人お歌の上手な人がお風呂に行ったところで
もう我慢の限界に来たようです。

「もう、こんなところにいられないから、御断りして外に出ましょう」と立ち上がりました。
どうも音階が取れなかった人は、母に身体を預けていたようで、母が立ち上がると
母のいたところに移動してしまいました。

そこで、「じゃあ、ちょっと部屋まで行って荷物を取って来ましょう」と
私も立ち上がると、
「あなたの荷物はどこなの?持たなくていいの?」
こういうところしっかりしている。
取りあえず、部屋まで来たら、トイレに行くと言うので
帰って来ましたが、
その時にスタッフさんが
「お歌の好きな利用者さんを連れて来たのに、残念だわあ」って

そうなんですね。血のつながりがなければ、
喜んでもらえるのに、
母は、自分だけに弾いていないのが、不満なのかも。
こういう流し形式なのがダメなのね。
コンサート形式だったら喜んでもらえるのに

父のデイサービスでもよく女性同士、音が取れていないと
けんかしているから伴奏に来てくれと
言っていたけれど、
ちゃんと弾く曲を決めて行った方が良さそうだ。