matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

どろぼう、殺すなら殺せと叫ぶ母

母の面会に行くと
車椅子に座っていて
外の紅葉を眺めながらとてもご機嫌な様子

穏やかな一日の始まりだったはず
リハビリに行き
しばらく歓談していると
看護師さんが来てオムツの交換しますと言うので
部屋の外で待っていると
看護師さんと母の会話が聞こえて来た

看護師さんが
御嬢さんいつも来てくれていいですねと言いますと
母が「だって私が産んでやったのだから当たり前でしょ」
看護師さん「そんなことを言って。なかなか出来ないことですよ。感謝しなくては」
なんてやり取り

終わって看護師さんがちょっと貧血なので輸血しますね
準備して来ますからと出ていくと
さっそく母が看護士さんがあなたのことを褒めていたわよと報告

ここまでは良かったのですが、
ベッドに横たわって輸血を始めると
隣りのベッドの人のうめき声がうるさいと騒ぎ始めました。
向かいのベッドでも家族の人が来て、早口言葉を練習させ始めたので
今思うとそれでいらいらしたようです。

輸血をする時に
針を抜くといけないのでしっかり見ていて下さいと言われましたけれど
早速の修羅場です。
手が冷たいとか
それを温めているとその手が私のいる方ではないので
「なんで私の上に乗っかっているの。痛いじゃないの」って怒る
腰も痛いと言って針のついた手でこするので
私がやってあげると言うと
「痛い。痛い。殺すのか、そうやって人のものをみんな取り上げてどろぼう」
「介護にしに来ているような顔をしてこっそり人のものを盗んでいく」
「ああ、痛い。痛い。弟くんならこんな時になんとかしてくれるのに
あんたはヘラヘラ笑っているだけで楽しんでいるんでしょう。
これだから頭のいい子は嫌い。何を画策しているのか、私のうちを乗っ取ろうとしているの?ああ、怖い。助けてー!!!」
輸血は四時半から始まりました。
食事は6時からです。
食事が来ても暴れまくるので、手を押さえたままです。
もうこれでは食事も取れないので看護師さんを呼ぶと
「いつも夜中にオムツを取り替えに来るとみんなやられているんですよ。
手を引っかかれたり、殺すって言われたり」
ってすぐに帰ってしまいました。
確かに針の刺さった手を押さえている私の手に爪を立てていますが
そんなことはどうでもいいのですが、
食事はどうなるのでしょう。
「殺せないなら、死ねー」なんても言っていますが、
それもどうでもいいです。
一番悲しいのは、見舞いや看護に来たこともない人のことを良く言って
こうやって母のことを心配している私のことを
子どものころからそうだった。何を考えているのか解らない
一緒に住んだ時期も少ないのに、こうやって介護に来ているのは、
家を盗もうとしているに決まっている。なんだかんだ言って色々なものを
盗んでいるんだと言われたこと。

こんな修羅場なのに、父から電話
出れない
夫からメール
「父から電話が来たから電話して」って
動けないので片手で母の手をつかんで弟にメールした「電話して」って

確かに早く結婚をしたから弟より少なく感じるのかもしれない。
でも、家を与えたのは弟の方でしょ。私は何も貰っていない
色々なものを無心されて工面した方なのに、でも
四人部屋でそんなこと反論できない
かろうじて
歌舞伎に連れて行ってあげたでしょ。お相撲も見に連れて行ったでしょ
と言ったら
「そんなの自分がみたかったから誘っただけでしょ」とまた反撃
いやいや
誕生日とか母の日には、舞台チケットを欲しがって友達の分まで
買ったことがあったのを思い出して
「舞台チケットを用意してあげたことがあったでしょ。私は行かなかったよ」と
ちょっと母の顔色が変わった
また夫からメール
「父からまた電話で明朝来てほしいとのことと追加で帰りにレモンを買ってきてほしい」とあったのでやむなく状況を説明したメールを送ったら
母が何人の話を真剣に聞いていないのって
怒り出した。
けれど、気がつけば母が怒り叫んでいたせいか病室が静かになっていた
隣りのうめき声もない。
そこで取りあえずテレビをつけた。
さっきはテレビの声も聞こえない感じだったから
話題をテレビに持って行っているうちに母の雄叫びもなくなったので
食事をさせることにした。
食事テーブルを移動させようとしたら低くてベッドの上に行かない
ナースコールでテーブルを高くしてもらうと
看護師さんがそのまま母のベッドの上に移動
立てていた足に直撃
「痛い」と叫んだけれど「ごめんごめん」で済んでしまった。
「今日はヨーグルトがついているのでヨーグルトだけでも食べさせて」
と言うのでヨーグルトを食べさせていると
それに混ぜて薬も飲ませてしまいましょうと砕いて食べさせた。

輸血は二時間半と言っていたけれど三時間十分にかかりました。