matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

こぼれ落ちる記憶の中で、色々と葛藤する母

一方の母

朝、母のところに行くと
入口から入って来た私を見つけて
手を上げる。

母を認めてから手洗いうがいに行く

母がスタッフさんに
私がどこに行ったか聞いている。

あいにくの雨で、天気が良ければバラ園を散歩と思ったが
晴れても足元も悪そうなので、
二子玉川109シネマ映画に行く事にした。

ちょうど11時台は、色々とやっているので
何を観てもいいなと思ったのだが、
渋滞にあって「グッドモーニングショー」になってしまったが
母は、中井貴一のお父さんの
佐田啓二が好きだったので中井貴一も結構贔屓だ。
佐田啓二と言えば、顔は息子よりトニーレオンに似ているような気がするが、
雰囲気は、似ているんだろうな。

映画を観ている間も
時々私の方を見て、笑っている。いやあ、コメディだものね。
もうちょっとどうにかならないか、母が飽きてしまわないかと
思えるような出来だったけれど、
終ったら
中井貴一は、他には何に出ているの?」って聞いたから
満足してくれたのかな?

まあ、それもランチをするまでのことで、イメージ 1
ランチを食べ終わった頃には、
「景色のいいところで食事出来てよかったわあ」
うっかり
「こんなにいい天気だったら、映画じゃなくても良かったね」
って言ったら
「え?映画観たの?全然覚えていない」
って言いだした。
すっかり抜け落ちてしまうのがショックなんだろうなあ。
「あそこに見えるのが映画館なんだよ。今度観に来ようね」
なんて言ってごまかした。
「ホラホラこんな映画を今度やるんだって。」
って、映画館で貰って来たチラシを見せた。
やっぱり「ファンタスティックビースト」なんてファンタジー
好きみたい。
「僕の妻と結婚してください」なんてとんでもないって言っていた。
そのうちに自分のバッグの中を一生懸命に何かを探し始めたので
「どうしたの?」って聞いたら
「あなたにみんな払わせるわけにいかないからお財布を探していたんだけれど
見つからないのよ」
「ああ、私がさっき預かった。ここにあるよ」
って言ったら
「ちゃんと沢山入っている?そこからあなたの分も取ってね」って
さっき映画を観た時も
「私お金持ってきたかしら。あなたに借金する訳にいかないわ」
って言ったばかり
「借りが多くなると払えなくなる」
とも
本当はここでちゃんとお金を見せて、確認させた方がいいんだろうけれど
私がうっかりして
あまり入っていない。
「大丈夫。大丈夫」って
レジまで母のお財布を手に持って行って
母が外の子供に目を向けた時に
自分のお財布から払った。
振り返って
「足りた?」なんて言っていた。
もうお金も数えられないのが本当のところだけれど、
お札を見て安心して、娘に払わせているんだと言う感じで
佇んでいる。

そうやって施設まで帰って来たら
駐車場のところに白髪の紳士が
母はまたも
「あのおじいさん誰?」と聞く
「ああ、○藤さんよ」と言ったら
「じゃあ、○藤さん、ご無沙汰していますって言ったらびっくりするかしら」
って、さっさと車を降りた。
○藤さん、忘れないうちに言わなくちゃと思っているみたい。

理事の○藤さん
「ああ、お帰りなさい。私と一緒に部屋に上がりませんか」って
引き取ってくれた。

母は、ここに住んでいることをちっとも理解しようとしないけれど、
おやつをいただきに来ているとは、思っているみたい。
いつも
「お久しぶりです。何も持って来ていないのですが、参加してよろしいですか?」
と挨拶をして入って行く。