matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症の母とプロペラカフェ


nat king cole
10時ころ、母のところに行ってみると
まだ就寝中

母が作成中だった毛糸の帽子を完成させたので、部屋に置きに行くと
「あんた誰?」
寝ぼけているのか、本当に解らないのか
取り繕う
「なんだか、この頃夢も見ないのよ。夢を見なくなったら人間じゃないわね。
もう死んだ方がいいのかもしれないから、このままにしておいて」
まあ、まあと言ってそばに行くと
むくっと起きる
起きるんじゃないか
取り敢えず、トイレを勧めているのに、母の話はまだ延々と続く

やはり脳のめぐりがゆっくりになっているのか、次の行動が
出て来ないようだ。

結局のところ、この頃外に行っていないので、頭が回らない
この辺りは空気が淀んでいるというので
外に連れ出した。
とは、言っても、そんな珍問答を繰り返していたから、出かけるのが12時すぎ
外に行った気分で外食出来るところと思って
調布飛行場のプロペラカフェに行った。

平日、丁度13時くらいだったので、店内は空いている。
窓側の席に座ると、となりには、赤ちゃん連れの女性たち
今時の抱っこひもに入れているので、外からは、赤ちゃんがいるのかいないのか
解らない。

またしてもベビーカーを押した女性たちがもう片方の隣に座った。
座るなり、ビールを注文
私の後ろになるので、母が見えているものと私が見えているものは
違うのだが、
窓から飛行機が発着するのが見える
イメージ 1
飛行機が飛ぶ、着陸する
赤ちゃんが泣く、赤ちゃんが声を発する

もう母は見るものが多くて大変です。全然食事が進みません。
プロペラカフェバーガーを頼んだのに
付け合せのポテトばかり食べています。
他のも食べたらと促すとバンズだけ
どういう訳かバンズとトマトを食べて
中身のパテだけ残してしまいました。

「大好きな肉が残っているよ」と促しながら完食

でも食べながら怒るんです。
「ねえ、私なんかが子育てしている時って、こんな赤ん坊連れて
食事なんか行かなかったわよね」
って。
うーん。確かに。見れば、抱っこひもの中にいた子が起きたらしく
お母さんが手で抱いていますが、一人の子はお母さんが首を支えています。
首は、座っているのでしょうが、本当にお人形サイズです。

今時の赤ちゃんなんでしょうね。瞳が大きくてかわいらしいです。
もう一方の赤ちゃんづれの子たちはもう少し大きく
あんよが出来ますが、
「バア、バア」しか言えないようで、それ以外の単語を発声しません。
店内を歩き回りながら
バアバアしゃべりっぱなしです。

母が、ここはどこと何度もきくので
その度に
「ここは、調布飛行場、すごいよね」
「厚木?」
調布飛行場、飛行機が沢山あるね」
なんて返していましたが、ついでにバアバアしか言わない子供も預かったら
あの子の方が先に
「飛行場」なんて言い出すんじゃないかってくらい
どうしても、調布と飛行場が結びつかない
そのうちに
「ここは、東京なの?広々しているわね」
なんても
赤ちゃんは60回くら同じ事を言ったら言葉を覚えるって聞いて
我が子に試したことを思い出した。
母には何回くらい言ったら覚えるのだろうか。

父に最近会っていないと言うので
「父さんは、レオナルド・ダ・ビィンチが見たいって言っていて、飛行場は
興味ないって言われた」
と言うと
「え、父さんて、そんなにミーハーだった?」
どうやら、ディカプリオと間違えたらしい。
モナリザの微笑みのダ・ビィンチだよ」
ナッキン・コールのモナリザ歌いだす。
母の歌う歌は、いつも私たちのレパートリーにないものばかり
これって一般的なのかな?

みんなが好きならレパートリーに加えてもらうように編曲者に頼むのだけれど
と、母が赤ちゃん連れに文句を言っているのに、
私の頭の中は違うことで回り始めている。

イライラしている母は食事が遅い
一時間半をかけて食べ終わると、すでに食事が終わっていて私は
冷え切って、腹痛さえ押さえきれない感じ
トイレに行きたくても、こういう時、母を一人にするのは、心配。
会計が終わってトイレに行ったが、トイレが一つだったので、
待たせる時にどれだけ心配したか。

車に乗ると暖房が入るので少しはいいが、母が暑がりなので、
気を使う。
それで、おやつは、デイサービス(母は、デイサービスが気に入っている)で
食べようねと連れ帰る。

ところが、着いたところはGHなので、またまた機嫌が悪い
歩くことのできなくなった利用者さんたちに対してキヨちゃんと二人で
不平を言い始めた
足がむくむからと
クッションを足の下に置いていた利用者さんのクッションを
さっと抜いて
「この人ったら常識がないのよ。枕を足に置くなんて」
と自分のお尻の下に
またスタッフさんが違うクッションを足の下に敷くと
「私の枕なのに、あの人ったら、足の下に置いている」と言い出す。
ほとんどしゃべらなくて、動かないそのむくんだはずの利用者さん
動かない足をそろそろと動かして
クッションをはずす。

動かなくたって、耳も聞こえるし、考えることだって出来るのだ。
いつか、自分がそうなったら、って思わないのだろうか
いや、思うからこそ、おそれを感じて
ちゃんと普通の人のようにしてほしいと
こんな行動にでるのだろうか。

そんなことをしていたら、雨宮さんが
「ねえ、もう夜ですよね。みなさん帰らないのですか?
私は、お父さんが待っているので帰りたいのですが」
と母に相談
「ねえ、あなた、言いたいことはちゃんと自分の口で言わなくちゃだめよ
三者が入ったら、違う風に伝えられてしまうの。ちゃんと自分で
言ってらっしゃい」
かくして雨宮さん、スタッフさんに
「おとうさんが待っているのでお暇します」って言い出した。
スタッフも慣れたもので
「おとうさんは、今日は大阪に出張中なんですよ。だからここで
夕飯を食べて行って下さい」
そうなの。と言いながらまた違うスタッフさんにも尋ねる
同じ返答
違うスタッフさんが来て
「ちょっと掃き掃除してもらえますか?」と
雨宮さんを連れて行ってしまった。

一部始終を見ていた母
スタッフさんに
「この子が腹痛を起こしているんで、病院に連れて行ってきます」と
言い出した。
スタッフさん
「娘さんは、腹痛でも車くらいは運転で来そうですよ。病院に付いていっても
足でまといになるだけですから、ここでみんなで待っていましょう。
きっと薬を貰って来るだけで大丈夫ですから」
母「そうですか?入院にでもなったら私がいないと」
スタッフ「いや、大丈夫ですよ。一人で行った方が早くやってもらえると
思いますよ」
私、「お薬もらったら連絡するね」
って帰って来ました。