matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

家に着いたところで

さて、家に着いたところで、母は車から降りない。
 
認知症患者としては、うまくすれば、今起こっていることも忘れて、家に入ってしまうかもしれない。
が、
どうも長く認知症と付き合っていると、嫌なことは、忘れない。
防衛反応なのかもしれないと思う。
生きて行くための知恵
なのか。
 
しかし、この嫌な記憶と言うものは、新しく覚えようとする知識をはねつける。
よほど印象的なことでないと覚えない。
いや、もしかしたら、その記憶が生存にかかわって来るなら覚えるのかもしれない。
土曜日に行ったスカイツリーを覚えているのは何かの時に目印になるため?
 
あとで、弟に聞いたら、知っている人が多くて、地名がどんどんでて来たらしい。
 
それは、さておき、母が降りようとしないので、
じゃ、家にお泊りするなら、着替えを持って来るね。
と言って、家にはいり、父に
「しばらく外にいてほとぼりが冷めたら帰って来るね。」と言うと
父は、それが聞こえなかったかのように
「早く探してよ。デイサービスの連絡帳、枕の下には、なかったから」
 
父さま、それで揉めたのですよ。
「ケアマネさんが連絡帳がなくても大丈夫ですから、デイサービスに来て下さいね」って言っていたよと
言い置いて
母を近くのファミレスに連れて行く。
 
弟からメールが来た。
「今から行くから」
 
弟が来たら家に帰るかなと思ったけれど、念のため
甘いパンケーキを食べながら様子見
 
夕食を取っていないので食べれるはずの私が少しも進まないのに
時間はかかっているが、きれいに完食する母
 
舐めるように食べた母に
「食事も終わったし、帰ろうか」と言うと
「どこに?・・・」
嫌な記憶ほど、中々消えないんだね
 
「なんかね、弟くんが家に寄るよってメールが来たんだよ」
「へえ、久しぶりだから、会いたいね
「じゃ、ちょっと帰ろう!」
 
この後、まだまだ、夜は長かった。