matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症患者なのに、忘れられない辛さ

朝、母のところに行ってみると、
まだ怖い、怖いと言っています。
 
どうしたのかと聞いてみると
「誰かにものすごい勢いで殴られて、体中痛い」と言っている。
 
でも母の80歳にしては、つやつやして、張りのある腕は、シミさえなく
きれいなものだ。
 
でも体をエビのように丸めて硬直した感じだ。
 
カラダをさすりながら、「心配なら、傷がないか見てあげようか」
 
と言うと、ようやく自分が寝ていたことに気がついたのか
「怖い夢を見たの。本当みたいなの。怖かった」と言う。
 
何でも次から次へと忘れてしまう母が
二日前の怖かった思い出を思い出し、夢の中で具象化している。
 
「大丈夫だよ」と言っているそばで、父が
父の日のプレゼントを全部着たそうで、
「どう?どう?これ着て出かけてもいいかな?」なんて呑気なことを言っている。
 
母「どこに行くのよ」
 
父「介護者の集い」
 
母「誰が介護者なのよ
 
私「介護サービスの受け方だよ」
 
父「違うよ。この人が・・・・」
話をぶった切って
私「違わないでしょ。まず、母さんが出かけるんだから、邪魔しないの
父さんは、人とコミュニケーションを取る場所がないのだから、何にでも出かけたきたらいいけど、今は、母さんが出かけるのだから、後にしてね」
 
父「でもねぇ、ゆうさん(私の弟)が、そんなものは、出かけないでいいって言うんだよ」
弟が一番怖い父さま。私を味方につけたいらしい。
 
私「行ってみて、つまらなかったら帰ってきたらいいでしょ。他にも用事があるので、
覗いただけですって言ったらいいじゃない」
と言うと、今度は母さまの食事の支度を始めた。
 
何を飲む?と言って次々に出す父
その矢継ぎ早の質問ぜめが母さんは怖いのに。
それがきっかけでまた怖かった思いが思い出させられる。
 
飲み物だけじゃない。
何か飲み始めると、今度は持ち物、あれは、あるか、これはあるか。
 
母の脳は停止し、その暴挙をやめさせるために
攻撃に移ろうとしている。
 
母の脳が動き始めるのを待ってほしい。
そうしたら、嫌な思い出を消し去って、新しい記憶に入れ替えるから
 
母が出かけてから父にそういうと
 
ねえ、今日のサッカーは、どっちが勝ったの?
父は嫌な記憶を消す達人だわ。