matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

91歳父、迷子になる

さて、
桜のトンネルの真下に来ました。
しかし、桜の花見のために降りてみたことがないので
この土手の周りがどんな風になっているのかわかりません。
取りあえず、
何人かがシートを敷いてお花見をしているところと
土手に上がる階段近くに車を止めて
駐車場を探してくることにしました。
 
ナビで探すと2キロも先です。
が、最近、駐車場は増えているし、公園もありそうなので、見当をつけて
探してみようと思いました。
二人も一緒に行って歩くと言いましたが
4000円以上もの買い物は
かなりの重さなので
お花見をしていてもらうことにしました。
 
やっと見つけた駐車場は、バスで三つ先
それでも東京のバスは、よく停まるのだなと思うくらいの近さ
丁度、狛江市の施設の前、父や母のところに歩きながら、トイレの位置確認
これはちょっと遠いかな。
 
そして着くと
二人は
買って来たものを自分たちの周りに広げていました。
階段の近くと頼んだのに、
完全に降ろした場所をよじ登ったところ
むしろ桜のトンネルの端に近い部分に腰をおろしていました。
どうして車の向かった方と逆の方に陣取るかな。
 
まあそれでも私がまた歩いて車を取に行けばいいかなと
広げた品物をみると
アイスクリームが放置
 
良い天気でしたので、これから食べることにしました。
しかも何故か4個
最初に入れた後忘れて、足してしまったのでしょうか?
 
アイスを食べた後で父が
ビールを飲むと言うので渡し、私はお弁当、母は一つのアイスに時間を
かけながらずっと食べていました。
父は、気分がよいのか、ビールに焼き鳥、お弁当と食べ
気分が良いとひっくり返っていました。
 
母もいつになくアイスを完食したあと、お弁当に移り
よく食べています。
 
父が
「写真を撮りたいのだけど、カメラがない。
きっと車に忘れたのだが、持って来てくれたか」と言います。
じゃあ、取ってくるよと言うほど、近くないので、
私のカメラで間に合わせてもらいます。
 
そんなこんなをしているうちに
父がトイレに行きたいと言い出しました。
うちの両親は幸いなことに、トイレがそんなに近くはないのですが、
高齢ですので、そんなに我慢をさせる訳にも行きません。
200mくらいのところにトイレがあったので、
説明をして一人で行ってもらうことにしました。
スーパーに行った時に行ってもらえば良かったです。
うかつでした。
 
みんなで行くには、食べ物や、ゴミが散乱状態で(集めながら食べてはいたのですが、)
母は動く気配すらない。
その上、父は立ち上がることも出来ないと言う。
ビールの缶は、わずか135mlと言う超ミニミニ缶なので、
その時はまさかそれのせいで足がふらふらになっているとは
思いもしなかったのですが、
後で聞くと、ビールのせいで足に力が入らなかったそうです。
それでも道路に立てば、普通に歩けたので、
頑張って行ってもらいました。
 
かなり遠いので、時間がかかるのは、仕方ないと思っていたのですが、
母もお弁当を食べ終わり、お茶を一杯飲んだところで
トイレに行きたいと言い出しました。
荷物を整理しがてら
父を迎えに行く事にしました。
 
母が整理し始めると
敷いていたものまで、ゴミ袋にいれるし、使えるコップもゴミ袋で
父のバッグを斜め掛けし、
自分のバッグを持っていた袋の一つに入れて
コンパクトにしました。
 
トイレに向かって歩き出しましたが
一向に父に出会いません。
最初のトイレに着くと
私が通った時は開いていたのに、しまっています。
次のトイレで母には入ってもらって外で待っていましたが、父が見つかりません。
 
父は、携帯電話は、持っていませんし、バッグさえも置きっぱなしなので
バス代も電車賃もないかもしれません。
 
前方と後方、ずっと先まで確認してから、母をトイレに向かいに行きますと
入口のソファにちょこなんと座っておりました。
「?もう行くの?」
動かないでいてくれたのが幸いです。
 
色々な事を考えながら、もう花見場所より近くなった駐車場に向かい
母を乗せて、さっきまでいた場所に行きました。
 
一本道なのに、父の姿が見えません。
先まで行って、Uターンです。
 
一人にしておけない人を二人連れて来てしまったことへの後悔です。
 
せめて、駐車料金がかかろうが、見通しのいいトイレ設備の整った
公園を選ぶべきだったとか、
もう愚痴愚痴言いながら、父を探しました。
心臓も良くない父です。どこかで倒れていたらどうしようとか
そんなに長くもなかっただろう時間に色々な事が
頭を巡りました。
 
そんな時に母が
「あの白髪の人、父さんじゃない?」と言いました。
「確かに頭はあんな感じだけれど、上着
黒いのよ」と
言って、見ていたおじさんの50mくらい延長上に黒いカーディガンを来た父が
ぽつねんと土手に座っているのが見えました。
 
車を道路のはじに停め
道路の向こう側から呼びましたが
さすがに耳が遠いだけあって聞こえないようです。
母に、
「連れて来るね」と言い置いて
父のところまで行きました。
 
父は自分がしっかりしているものだから、
「一体どこに行っちゃったのよ」と
「どこのトイレに行ったの?母さんもトイレに行きたいと言ったから
二人で行ったのだけど、会えなかったね」と
言うと
「道の途中で、親切な人がいて、手を貸してくれて土手の下まで
連れて行ってくれた」
とのこと。
「かなりの坂道で手を引いてくれなければ行かれないところだったよ。
親切な人が多くて助かったよ」
ですって。
途中で右折してしまったようでした。