matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

介護が必要かと思うと、妙にしっかりしたり

なにがなんでも病院に連れて行かないと薬がない
と言う訳で
母の家へ
着いた時に、父はガーデニングの真っ最中
もうじき咲きそうなつぼみがあちこちに付いていて楽しみだ

母はと言うと
下着姿で横になっている
私が行っても起きる様子がない
「病院に行くから用意をして」と言うと
「私、どこが悪いの?」
 
そうねえ、今日はなんて答えようか
迷っている間に
「頭が悪いんでしょ。私認知症だと思うの。もう治らないからほおっておいて」
なんて言われるのかなと思っていると
「健康診断みたいなもの?」
と来た。
「そうだね。定期的に診てもらって病気の予防をするんだよ。」
「話し聞くだけじゃないの?それでお金取られるなんてもったいないじゃないの?」
「うーん。私も今整形外科に通院中だけど、話だけで特に治療なんてしてもらわないよ。
でも、一週間に一度は通っているよ」
「そうなの?触診もしないの?」
「うーん。必要と思ったらするんじゃないの。」

「寝ている方が楽だもの。寝ていたら少々具合が悪くてもお治っちゃうよ」」
と言う。
「どこか具合が悪いの?」

エンドレスの話をしていると

父がやって来て
『うらやましい最期』とはなんぞやと語り始める
『人間どう死ぬべきか』
原稿用紙にしたためたらしく、見てくれとそれを差し出す。
 
母は
「もう。死ぬ死ぬって、言わないでよ。縁起でもない。そんなに死にたいのなら死んだらいいでしょ」
とおかんむり
「そうじゃないよ。いかにいい死に方をするかと言うことを考えて暮らしていかなければならないのだよ。
おばあちゃんは、病院を3回も変わらさせられたんだよ。たらいまわしにされて、
どんな気持ちで死んだか
母さんのお母さんだって、数回移動させられたよね。みんなで受け入れてくれる病院探して
残った人に迷惑をかけちゃいけないんだよ」
 
「なるほど終末医療のことを言っているのね。
看取り介護をしてくれる医者を考えておかなければ
ならないって言っているのね
よーくわかったけれど、その前に母を病院に連れていかないとお薬をもらえないからね」
と言うと
取りあえず、その話は終わったけれど、
今度は
「さいとうたかおと言う国会議員が中国の問題を国会で話して除名になった」と言う話を始めた。
そんなニュースは最近聞いてないなあと思って
「それいつの話?」と聞くと
「1940年(?)2・26事件の○×△」
なんかよく聞き取れなかったけれど、
今の話じゃなにのね。と聞き流すことにしたのに、母が
「私の頃は松谷てんこうこうがいたわよ。おばあちゃんだったけれど、白亜の恋で有名な」
って母様、かけおちしたのなら、それなりの年齢でしょ。???って不思議がっていると
「中曽根さんもいた。若くってハンサムで、もう議員やめたの?」
それなりに相槌を打っていたが、これじゃあ病院に行かれない。
 
これは、父がいるから母は着替えないのだなと思い、
「病院に連れて行くからちょっと席を外してくれない?着替えさせるから」
とお願いして
母を一人にする。
 
「私はね、時々、起きるとここは自分のうちなのか、病院なのかって思うのよ。
前に病院に入院したことがあるわよね。
真っ暗で、誰もいないの。スタッフさんが何かあったらボタンを押して下さいって言ったあとは
誰もいなくなっちゃってね。そのうちに他の部屋へは見回りに来たみたいなのに、
私のところへは、明かりが見えたなと思ったら、何にも言わずに次の部屋に行ってしまうのよ」
 
「私も入院した時は消灯と同時に寝てしまうから、看護士さんが朝の見回りの前に起きてしまって
まだかな?まだかな?って待っていたわ」
と言うと
「そうなのよね。自分がどこにいるのかわからないから、人が来るのが待ち遠しくてね」
やっぱり記憶が繋がらないだけで、普通に色々考えて、不安になったり、安心したり
しているようだ。
 
お腹が空いて来たので、勝手にコーヒーを入れて飲んでいると
起きだして来て、
服を着替えだした。
クーラーが効いてきたのも良かったみたいだ。北風と太陽逆バージョンだわ。
 
食事も始めたので病院に電話する。
 
二時間後の時間を言ってくれた。
一時間前に母と連れ立ってバス停まで歩く。
父がお薬手帳を忘れたと追っかけて来た。
律儀な人だ。
 
「バスの出発時間に間に合うかな」と言う
前回、目の前でバスが出てしまったのを覚えているのかな?
 
「バスが見えたら、大きな声出して引き留めておいて。まだ大丈夫だと思うけれど」
「任せておいて」
母の歩き方がしっかりした。
私の歩き方がどこか頼りなげなのかもしれない。