記憶のとっかかりを見付けた喜び
6月の初め、母と「はじまりのみち」と言う映画を観に行った時のこと。
シネコンのポスターを見て
「吾郎ちゃんの映画をやっているのなら、そっちの方を観たい」と言ったのです。
ちょっと前なら「桜ふたたびの加奈子」をやっていたのですが、
もうそのシネコンでは、上映されていませんでした。
不思議に思っていると
「ああ、あれね。似ているかもしれないけれど、違う人なのよ」
と言ってもちょっと疑っています。
見せてあげてもいいのだけど、まだ公開前です。
散々疑った挙句
「映画なんて観なくてもいいわ。でも舞台とかあったら、絶対に誘ってね」
ドキッとしました。
以前にも、まさに吾郎ちゃん主演の舞台をやっている時に
舞台が観たいと言ったのです。
まさかと思いつつ、舞台の上演が終わるまで知らぬ存ぜぬを決め込みました。
認知症と診断されたばかりの頃は、もう芸能人の名前もよく出て来ない状態で
「テレビも知らない人ばかり出ているね」
といっていましたが。
ある日散歩の途中で携帯会社の前に立ち止まったと思ったら
「私、この人たち知っている」と
うれしそうに
カタログをもらって帰り、
全員の名前が出るまで頑張っていました。
ゴロウちゃんと慎吾くんの名前が割とすぐに出て、(発症する前と変わらないイメージ)
それからは、セブンイレブンの前とかで
ポスターを見付けるとうれしそうでした。
こういうのって長い間出続けている人の功績でしょうか
母の脳を刺激してくれるのなら、どうかまた五人で
何かのCMをやってくれるとうれしいのですが。