matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

はじまりのみち

母のところに行くと
 
「あなた、これ忘れていっていない?」と先日なくしたポシェットを出して来た。
 
母がしまっておいてくれたと自分に言い聞かせていたが、見つからなくても仕方ないとあきらめていたものだった
だけに、うれしさがこみ上げてきて
何度もありがとうを言い、見つかった喜びを言っていると
 
「そんなに喜んでもらえて良かった」と、今度は電話の子機を出して来た。
 
「うーん。残念ながらこれは、私のじゃないや。でも元の場所を探しておくね」と貰っておいた。
 
後から来た「父がなんだこれは?」と言っていたが、
 
「電話の子機なんじゃなあい?」と
そらとぼけてしまった。 もめる火種は大きくしたくないものね。
 
母が
「今日はなんで、来てくれたの?私が具合が悪くって寝ているって父から聞いたの?」
余計なことをしてと父が叱られる前に
 
「なんだろうね。テレパシーかな?」
父と母と私
 
どんよりした天気のせいか、早起きがたたったのか眠気が止まらない。
母が父に
「お小遣い頂戴。出かけて来る。なんかいい映画やっている?」と言うのをきっかけに
映画を観に出かけた。
 
「はじまりのみち」
どこかでレビューを読んだら、木下恵介の伝記で、ほとんどが彼の昔の作品の紹介だとあった。
 
母には、丁度いいのじゃないかなと
 
本編は、木下恵介が戦争映画を国の要望で作ったところ
戦意喪失するような作りだと言われ、それなら自分の作りたい映画が作れないと
会社をやめ、実家に帰ってきたところ、実家が焼失。
家族はみんな無事だったものの、脳溢血で倒れた病気の母親をいつ敵に襲われるかもしれないところに
置いておくわけに行かず、山奥に家族全員で疎開しようと思い立ち
バス以外の交通機関のないところなので、揺らさないで移動するためにリヤカー移動を考え
兄弟二人と便利屋の三人で母親と荷物の荷台のリヤカーで移動を始める。
50kmと言う距離を三日間かけて移動
その道中、彼ら兄弟がどんなに親のことを大事に思っているのか、どんな風に育って来たのかが
浮き彫りになる。
また恵介がどんなものを映画にしたかったかも推察でき、それが映画として出来上がったものも
みせてくれるので、
木下恵介の作品のあらすじを次々に見せられたというより
彼の心の奥にしまってあったものの具現化されたものを見せられた感じだし
何より、戦後間もない役者さんたちが生き生きと描かれているのに感銘を受ける。
 
母は佐田啓二が、昔から好きだと言っていたが、なるほど
なかなかのハンサムだ。
その息子の中井貴一よりトニー・レオンのような色気がある。夭折したと聞いていたのに
「喜びも悲しみも幾歳月」では、かなり年配の役をやられていて
力強い男性の役もやっていたんだなと認識
軍隊の田中絹代も中々可愛らしかったし
母に、「今度借りてきてあげるから一緒に観よう」
と言ったら、
「あら図書館で借りられるの?」
そうだね。探してみよう。
本当はTSUTAYAのつもりで言ったのだけど、まあどっちでもいいや
母が乗り気なのがいい。
 
 
映画のこと少なかったので
少し追加
 
「ポテチ」でも好演を見せた濱田岳が良かった。最後まで、木下監督、この人スカウトしなくちゃ
って思うくらいでした。
他にも光石研濱田マリが泊まった旅館の旦那とおかみ
加瀬亮ユースケ・サンタマリアの兄弟もそれらしくて良かったです。
「文学を商売にしていいなんて発想がなかった」とか、
少ないセリフながら、心に響くセリフが多かったです。