matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症の母と一緒の葬儀の席

この二日間、どうやって過ごしたのか
とにかく、親戚の皆様には、
お姉さん、以前より明るくなった。普通に話しているし、聞いていなければ、全然わからない。
と言う言葉をいっぱいかけてもらいました。
 
しかーし、
その裏では、色々なことがあり、通夜は、ともかく告別式では、
私たち姉弟がハラハラする場面が続出、
 
それでも親戚のみんなが言うように、
滞りなく行事を済ませ、
いやいやむしろ、こういうことに慣れていないみんなよりも先にたって、
別れの儀式を行い。
棺にお花を入れる時には、葬儀場の人に
体に触ってもいいですか
と聞いてから、
三男坊ちゃん、ありがとうね。こんなに冷たくなっちゃって…。
お疲れ様。
と頭やほほをなでていました。
父も後ろから
ゾウさん(190cm、100キロを超す巨体です)色々ありがとうね。と声を掛けていました。
 
喪主がまだ結婚したばかりの若い息子で、
ボウーっとしているものですから、
母がどの場面でも喪主たちを促しながら親戚の先頭を切ってやっていました。
控室でも、喪主が最初に座って、何もしないので、
集まっている人たちは、夫々が勝手にしゃべりはじめガヤガヤとうるさくなってしまったので、
母は暑くて気持ちが悪いと言って退席。(ちょっとは気遣っているんだろうな)
喪主に、その旨伝え、弟に父を頼んで、別の部屋に行きましたが
 
母は、かなりご立腹です。
喪主の前の席しか空いていなかったので、母に話しかける人もいないし、
「ただ、ただ周りがにぎやかなだけ、なんなのこの集まりは
とやおら、服を脱ぎ始めた。
冬の喪服って、やたら羽織っているから無理もないのですけれど。
「ねえ、ここどこ?」
「葬儀場なんだけど」
「えっ、誰が死んだの? どうして知らせてくれなかったの?
 知らせてくれたらこんなに動揺することもなかったのに」
 
「言ったよ。だから昨日もお通夜に来たでしょ。母はりっぱにお焼香していたよ」
そうなの。じゃ、
     私がそれを忘れていると言うの?
   それって、今はやりの認知症じゃないの?」
 
「いやいや、弟が死んだから動揺しているんだよ。信じられないって言っていたじゃない」
「え?四男坊?五男は、もう死んだのよね」
「違う、違う。三男の叔父さん。」
「一番元気だったじゃない」(はい。確かに)
「いつ、死んだの?ずっと悪かったの?」
「ううん。9日にみんなで会った後、お風呂入ってて亡くなったんだって」
「えっ?9日って、いつ?今日は何日?」
「今日は12日で、9日に兄弟みんなで会ったでしょ。母も叔父さんとお菓子を一緒にたべたんだって、
母が帰ったその後、叔父さんは、残ったみんなとおうちの整理をして、家に帰ってから
お風呂に入って、いつもなら、15分くらいで出てくるところ、出て来ないので奥さんが見に行ったら
仰向けで死んでいたんだって。」
「で、死んだのはお兄さんよね」
「お兄さんは二年前に亡くなったんだよ」
「じゃあ、なんでみんな集まっているの。 
ガヤガヤうるさくって、気分悪いから帰る。
あんたは、みんなとしゃべっていけばいいでしょ。
父を呼んで。二人なら帰れるから」
 
「ここへは弟の車できたんだから、車で帰ろう」
 
「え?なんで弟君もいるのよ。ドライブしに来たんじゃないの?いつまでもここにいる意味がわからない。お天気もいいのに」
 
「ここは、火葬場なの」
 
「え?誰か死んだの?
   いつのことなの?
      私が動揺すると思って秘密にしておいたのね。
            隠し事はしないって言ったじゃない?」
 
「うん、ごめんね。母より9歳も下の叔父さんが亡くなったから、ショックでしょ」
 
「でも、今何をしているの?お別れをしなくちゃ。お香典は持って来たかしら。」
思考回路が難しい。
弟が亡くなったのがショックなのか、葬儀をしたことを忘れているのがショックなのか、
どっちも攻撃してくる。
何度か呼び出しのアナウンスが流れるが、叔父は巨漢のためか時間がかかっている。
6尺5寸の棺にも入りきらず、腕の位置が通常と違うらしい。
 
しかし、アナウンスがあって、お骨を拾いに行く事になれば、またきちんと長女の役目を果たしている。
 
人の好い弟が来た時より、連れて帰る人を増やしてしまった。
ずっとしゃべり続ける、四女目の叔母のダンナさま。
途中まで調子を合わせいた三女のダンナ様も寝て、父も
寝ている風。
それでも一人でしゃべっている。約一時間半ほどして、
よせばいいのに、四女さんが寝ている風の母に飴を渡したものだから、
「もう、ずっとうるさいわね。
うるさくする人は、下りて!どこか近くの駅から電車に乗って帰ったらいいでしょ」
と一喝
四女のダンナさまは、数日前に、64歳の弟を亡くし、ほとんど同年齢の義理の兄を亡くしで
落ち込んでいたところ、通夜の席で母と息統合していたものだから調子に乗っていたのかもしれない。
母は、みんなでドライブしているのに、病気の話とか、つまらない話ばかりしてと
思ったのだろう。
 
とにかく最初に書いたように、気持ち悪くなったと言って退席したロビーでの会話以外は
普通に、なんの失敗もなく、行っていたのでした。
またこの一週間くらい、トイレの失敗もなく、余計なものの洗濯もなかったです。