matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

母が訃報を受けてしまった。

叔父の訃報を聞いて
すぐに実家に行きました。
すると、家じゅう、紙ごみだらけ
 
父が吸水シートを洗って、乾燥もかけたのかな。
家中、細かい紙が散らかっていて
母が
「汚した人が掃除しなさい」と父に詰め寄っていました。
 
ほとんどドット模様になっている洗濯物を干して
乾燥機、洗濯機を掃除するとともに、母にコロコロローラーを渡して
掃除をしてもらうことに。
 
母は「もうやりっぱなしなんだから。いい加減にして」
と少しコロコロしては、父の部屋に行き
ほうきを持っては、ゴミを掃きだし
自分の弟の死をわかっているのか解っていないのかと思っていたら急に
「父様が死んだら、介護人になって施設で働く」
と言う
母の中で叔父の死は、現実的ではなく、一生懸命考えた挙句
父様が死んだらと置き換えて考えたみたいだ。
深刻になっても困るので
「じゃあ、介護人になれるか練習をしよう」と言って
「介護人さん、お茶入れて下さいな」と言うと
「介護人に命令するなんて、あなたは誰のつもり」
と言う
「私は、介護人をまとめる人。はい。手を休めていないで、お湯は入ってますか?
まずは、ポットに水を入れて下さいな」
と言うと、
「でも介護人って、介護される人がトイレに入ったら、
紙でお尻を拭いてあげなくては
いけないのよ。それは、嫌だな」
デイサービスで見て来たのかな。
「あ、それは、しなくていいですから、カステラを切り分けて下さい。あ、ゴミをつまみましたね。
まずは、手を洗って下さい」
ちょっと私に一瞥してから、
「お茶は二人分でいいね。あ、コーヒーがいいな。お砂糖はどこかな?」
「棚の右から二番目」
「ふうーん。あら、塩じゃない。ちゃんと教えなくちゃダメでしょ」
「それ左でしょ。右から二番目」
「あ、見つけた。テーブルの上にあるじゃない」
ま、それでもいいか。一体ここの家は砂糖の入れ物がどれだけあるのだか。
「父さまあ~。カステラ~。・・・。・・・。
聞こえないようだから二人で食べよ」
「父様、耳は遠いし、部屋の扉はしまっているから、行って来るよ」
「いいの。甘やかさないで。働かないでグータラしているんだから」
私は電光石火のごとく、父の部屋の扉を開けて、すぐに戻り
大声で
「おやつにしまーす。カステラ食べまーす」と叫ぶ
 
「ほーっ、いい匂いだ」とやって来た父に
母は、誰が死んだの、どうして死んだの、どこでお通夜をやるの、
誰が連れて行ってくれるの、
で、お兄さんはどうするの?え?死んだのはお兄さん?
父がいちいち答えるから、一巡するとまた
誰が死んだのとなる。ループする質問に
「ま、でも母さまが明るくて良かった。慰めなくちゃならないかと思ったのに
と言うと
「だって、誰が死んだのか、全然実感がわかないから。
ずっと会っていなかったし」
 
いやいやいや
「昨日、会って話したんだよ」
と父
「え?なんで会ったの?誰が連れて行ってくれたの?」
うわあ、ループするどころか、もっと前に戻っちゃったよ。
延々、こんな話をしていると、我が弟から電話
「喪服、確認しておいてくれる?」
「あ、そうそう。それを確認に来たんだったわ。すぐするね」
と父に喪服を持って来させる。
まず、持って来たのは紺のスーツ。
「色が違う」
次に持って来たのを着せてみると、お腹がしまらない。
「お腹がしまるの、持っていないの?」
探せど、探せど、黒じゃない服を持ってくる。
「黒持って来て」
と言ったらモーニングを持って来た。
本人もわかっているらしく
「これじゃないんだよな。どこに置いたのだろう」
母が、
「私の喪服は?」
「一人づつやろうね。こんがらがっちゃうと困るでしょ」
そして、喪服のが見つかった。
サイズもジャストサイズだが、
ズボンが見つからない。
探して、探してやっと見つけたら8時を過ぎてしまった。
「母のは明日見つけてあげるね」と言って帰って来た。
明日と言う言葉が聴いたのだろうか、
うれしそうに玄関まで見送ってくれた。