matsumushisou’s blog

映画やドラマと日々の生活

認知症の母と映画鑑賞

母の家に行ったら、母が布団にくるまって起きて来ようとしない。
 
それなのに、どこに行くなんて、布団から首を延ばして聞く
「私、看病に来た訳じゃないから寝ている人とは話しないよ」
 
布団の上に私が持って来た毛布が二枚も乗せてある。それをどけて、横をみると段ボールが。
今月の紙おむつが届いたらしい。
これが一番上じゃ、使っているおむつがどこにあるかわからなくなるので
わかるように入れ替える
 
勝手にソファアに座り、ストーブをつけ、テレビを見ながら、新聞などを片付けていると
「ねえ、なんでここに薬があるんだろう。朝食後なんて書いてあるからもう飲んだらいけないだよね」
「・・・・・・」
「寒いなあ、コーヒー飲んでもいいかな。その前にトイレ貸してね」
 
母がごそごそ起きだす。
 
「寒いねえ、トイレに行きたいんだけど、あ、なんか背中が冷たい。どうしよう」
「じゃ、着替えを探してあげるね。ちょっと待っていて」と言って
 
ズボン下と紙おむつとズボンを渡す。
 
着替え終わったころに父が書斎から出てきて、
 
「やあ、ご苦労さん。昨日は、区からおむつが届いたんだよ。あと、美容院からも手紙が来て、
年賀はがきは一枚しか当たらなかったよ。・・・・・・・・等々」
 
「着替えているんだから、あっちに行って」と母
 
トイレに行きたかったんだからと言う母をトイレに行かせている間に上の方の着替えをさがす。
戻って来て、寒いから上は着替えたくないと言うのを、
 
「寝汗をかいて背中も濡れているって言っていたよ。風邪ひくといけないから上も着替えて」
 
ふーんと言いながら、下着以外は自分の好みで渡したものと違うものを選んで着て行く。
下着、カットソー、タートルにフリース、そしてダウンジャケットまで着てしまった。
 
「どこへ行く?映画がいいかな」
 
映画かあ、今から見られるものは何かなと家から30分くらいで行けるところを検索していると
父が来て、
 
東京家族が観たいのだけど、タダ券はないかな」と言う
 
まあ、時々タダ券あげるけれど、あげると、額面をみて「1300円は、高いじゃないかと言うくせに。
絶句していると「ネットで買えないのか」と来る。
ハイテクじいさんだ。ほしい本もアマゾンだといくらか調べさせる。
 
こんなことで時間を費やしている間にも行かれる作品がなくなって来る。
 
次には、「この間、(息子と)夢庵に行ったのだけど、すき焼き定食だっけかな、5%割引で食べたのだが
おいしかった。もう一度食べたい」
 
なんだぁ、それは高齢者割引でもあったのか、それともなんかのクーポンか?
父のおかげで、リンガーハットユニクロは、携帯登録させられてしまったが、
そういうものなのか???
取りあえず、夢庵といえば、新百合ヶ丘にあったことを思い出して、マイカルシネマに的を絞って
探すことにした。
 
すると、父が言っていた東京家族が12時25分から始まる。一時間以上あるから、食事もできるかもと
そこに決めて、出かけよう宣言をする。
 
母が「食事をするなら、スポンサーを連れて行かなければ」と最後の最後に
めずらしく父を誘い、電気を消し、火もとの確認もする。
父がまた、それを再度確認をしているのか、車で待っていると中々出て来ない。
 
そうやっているうちに、時間が経ち、着いてみると、ギリギリの時間。
会場は混んでいて、並んですわるために、前から4列目と言う席に
「近すぎるなあ」と父は言っていたが、始まってみれば、面白いらしく、いい反応をしている。
 
ただ、吉行和子橋爪功の夫婦は、
一体いくつの設定なのか、父や、母でも混乱したみたいで
最後の方で吉行和子が68歳の役と分かったが、
じゃ、一体橋爪功は、いくつだったのかと
話題が変な方になってしまった。ネットで調べて、1941年生まれだから、71歳なんじゃない?ということになったが、とにかく家族構成が、よくわからなかった。
長男の西村雅彦は、50を超えているから、80歳近くの夫婦の話かとずっと思っていました。
長女の中島朋子は、アラフォーなんでしょうか、若く見えますね。と二男の妻夫木聡もフリーターの30歳、こちらはアラサーですかね。
最近の30代は、結婚願望が低いと新聞でみたばかりなので、そうですよね。
彼女は完全に20代ですね。
あとは、みんな敬語を使わないのが気になりましたね。
ところどころつっこみたくなるところはありましたが、
終わってみれば、いい話だったねということになりました。
映画としてちょっと古臭かったのでしょうか。
母が、
「これ最近の映画じゃないわよね。古い俳優さんばかりだったし」とさかんに言ってました。
「公開になったばかりの映画だったんだよ」と言いましても
しばらくすると
「いい映画だったけれど、古い映画だったわね。大きい画面で見るといいけれど、今度は
新しい映画が観たい」
と言ってました。
 
やはり、母には「テッド」でも観せた方が良かったかな。荒唐無稽で。