母が元気になっていることを理解できないのがつらい。
こんな姿でデイサービスに いくのは、嫌だと言う。
母には、階段で落ちた記憶もなければ、自分の姿が自分の思い描く姿と違っていることも
理解できないのだ。
朝、起きたら体が動かない。
どうにか、大声で父を呼び、起こしてもらってトイレに行く。
鏡を見ると老いさらばえた自分がいる。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
自分は元気で、いつまでたっても若いですねと言われていたはずなのに。
そう思って不機嫌なのだ。
父は毎日オロオロ電話をかけてくる。
ヘルパーさんを頼んだから大丈夫だと言ってもかけてくる。
かけてくることによって、母は自分が疎まれていると思い、父にあたる。
それでも今日は、歩けると思っているようで、電話口に出た。
実際はかなり歩ける。痛めていない左手は、ブルンブルン回すこともできる。
歯医者の時間になったら迎えに行くと言うと
「来るのだったら今来たらいいでしょ。
こんなひどい恰好でデイサービスに行けと言うの。
施設にいる人に笑われればいいと思っているのね」
と脅し文句をはいて電話を切る。
母は、お舅さん、お姑さん、そして父の姉の世話もしていたが、
自分の親じゃないので、愚痴りたいだけ愚痴っていた。
自分の親じゃ、悲しい。余計なことを考えると家事が進まない。