小芝居

雨の降っていたある日

母の施設に行ってみると10時を過ぎても起きていないとのこと

聞いてみると

最近低血圧で上の方が９０を切ることもあるので

時々見回りに行っては起きるのを待っているとのこと。

確かにデイサービスに行っている時も朝は苦手そうで

起こすと不機嫌なこともありましたが、低血圧だなんて思ってもみなかった。

ま、そんな訳で、少し血の循環をよくしようと施設を連れ出して

夕方、帰って来ると

一日雨だったせいか、みんなちょっと不機嫌

雨宮さん（仮名）は、一心不乱にエアピアノを奏でてらしたけれど、

ふと我に返ったように

家に帰らなくちゃと言うと

椅子から立ち上がって

スタッフの方に行き、

「私、帰ります」とやっている。

電話の近くにいたもう一人のスタッフが

電話を取ると

「はあ、はあ、そうですか、わかりました」と

やっていたと思うと

「雨宮さん、今、おうちの方から電話がありまして、

皆さんとお夕飯を食べて来て良いですよっていうことでしたから

どうぞ、ソファに座って待っていて下さいね。もうすぐ

用意できますから」って

小芝居をしていました。

介護スタッフのあらたな才能、演技力を

発見した日でした。